もうひとつの大事なエンジン作文力でさらに国語は伸びる。
読むことと平行してぜひ取り入れたいのが作文です。 読書が言葉の入力なら作文は言葉の出力です。この両者が交互に役割を果たすことで言語能力は飛躍的に発達します。オーバーにいえば鬼に金棒といったところでしょうか。ただ、書くことは一般には読むことよりもずっと難 しいのです。まず、国語の授業を考えてみてください。読むことと書くことのどちらが多いでしょうか?いうまでもなく読むほうです。書くことというのはほとんどと言っていいくらいしてないのです。これは小中高を通じていえることです。実際、大人であっても文章を書くことを苦手にしている人は多くいます。
書くこと=考えること=自分を表現すること=自分を認識すること
多くの人が作文を始めるときにまず思うことは「書くことがない」ということです。しかし、練習を重ねていくうちに「書くことがない」のではなく、書き方を知らなかった、表現すべきものを持ってなかったということがわかります。
その一例を示します。たとえば、公園へ行ったとします。 すると皆こう書きます。 「公園へ行きました。」 どうやって行ったのか、歩いてなのか走ってなのか、 電車に乗ったのか、バスに乗ったのか、どんな天気だったのか、晴れていたのか曇っていたのか雨が降っていた のか、風が吹いていたのかいなかったのか、一人で行っ たのか、誰かと行ったのか、誰かと話したのか話さなかったのか、まわりはどんな景色だったのか、どんな人がそこにいて何をしていたのか、何を考えながらそこへ行ったのか。
挙げればきりがないほど多くの情報がそこにはあるはずなのです。そういったことを書けば良いのです。つまりできるだけ結論結果を書かずに(もちろん最後には書きますが)できるだけそこに到達するまでの過程を詳しく書くのです。
作文を書くためのまず第一段階は過程を詳しく書くということです。たとえば野球の試合で勝ったことを書くとし ます。普通の例と過程を書いた例を比較してください。 普通の例 野球の試合で僕が打って3対2で勝った。 過程を書いた例。 都の対抗戦、2対2のまま最終回。 打席が回ってきた。3塁には吉田君がいる。 一球め、遠く外れてボール。二球め、思いっきり振ったが 空振り。三球め、バットにあたった。僕はとにかく夢中で 走った。ボールが高く上がりセンターが突っ込んでくる。 センターが飛びついた。ボールが落ちた。 勝った。
さて違いが分かったでしょうか?普通の例だといきなり結果を書いてしまっていますね。過程を書いた例だと 最後まで読まないと勝ったかどうかが分からない。そして書いた人体験したのと同じ経過をその文の中で想像しながら体験できることになるのです。
ですから作文を書くためのまず第一段階は過程を詳しく書くということなのです。作文が書けないという人は書くべきことを書かなかっただけ、何を書いたら良いのかに 気がつかなかっただけです。